Ⅹ(クロス)
リディアはキュッと唇を結ぶと、静かにその目を閉じる。
体の中の力が、リディアの意志と波長を合わせ始める・・・
リディアの体は上空高く浮き上がり・・・
次の瞬間
――バンッ!!
リディアの中心から緋色に輝く光の帯が一気に森へ向かって放たれた。
その何本もの光りの帯は、凄まじい勢いで木々の間を縦横無尽に駆け巡る。
燃え盛る炎は、その帯に当たった瞬間、シュンッと掻き消され、渦巻く熱風も、たちまちその熱を失う。
光の帯は、波うち、交差し、重なり、離れ、どんどんその勢いを強めながら、森全体に拡散していった。
(・・・。 これが、クロスの力・・・)
ユウリは翳した腕の間から、唖然としてそれを見つめていた。