Ⅹ(クロス)
ほんの数分の出来事だった。
真っ赤な炎はその姿を消し、後には薄っすらと立ち昇る白煙と、燻された匂いの漂う木々だけが残された。
カルマの森には、深い静寂が満ちていた。
そこには・・・
もはや生気は無かった。
「リディア!!」
ユウリは慌ててリディアの許へ駆け寄り、崩れ落ちる体を受け止める。
「お前・・・大丈夫か?」
ユウリの言葉にリディアは小さく頷くと、その腕をギュッと掴んで言った。
「カラスさんの所へ・・・早く!!」