Ⅹ(クロス)

「クロスが、覚醒しただと・・・?」

王宮の官房室。

フェルナンドがオウガの胸倉を掴んで問いただす。


「はい。国王陛下。

シュラムへ遣ったヘリが先ほど帰還し、その状況を報告してまいりました。

想像を絶する凄まじい威力だった・・・と。」


フェルナンドは顔を赤銅色にし、わなわなと体を震わせる。

「奇襲が仇になった・・・か。

シュラムを取り囲む防壁を崩すつもりが、新たな防壁を生んでしまったと・・・。

全くお笑い種だな。オウガ。

こうなったら、一気に拠点を叩き潰すしか・・・」

「いえ・・・恐れながら国王陛下。」

オウガはそれに被せるようにして、次の言葉を発する。

「もう一つ、懸念すべき事がございまして・・・。」


「何だ?!」

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