Ⅹ(クロス)
Ⅸ. 語り伝える者
「カラスさん!!」
「カラス!!」
ぐったりとその身を横たえたカラスは、眉ひとつ動かそうとはしない。
その衣服は所々焦げ、手や顔に爛れたような火傷の跡が残る。
「カラスさん、起きて! お願い起きて!!」
リディアは泣きながらその体を揺するが反応は無い。
「ねえユウリ、薬は?!」
「ぁ、ああ、お前の薬がまだ・・・」
――ガサガサッ
「待たれい!!」
突然、背後から聞き覚えの無い声が響く。
「えっ?!」