Ⅹ(クロス)
老女はカラスの腕を取り、しばらくじっと目を瞑っていたが
「紫紺の塊(カイ)よの。」
独り言のように呟いて、背負っていた小さな白い袋の中から二つの小瓶を取り出した。
その青紫色と群青色の液体は、瓶の中で踊るように揺れている。
老女は、その液体を少量ずつ手のひらに取ると、もう片方の手で蓋をする。
老女がグッとその手に力を込めると、全身の気がその手の中に集中し、老女の手は真っ赤な光を放った。
「さて。どうかな。」
老女はそっとその手の蓋を開ける。
そこには、濃い紫色のぬるりとした塊が、揺らめいていた。
老女はそれをひょいと摘み上げると、カラスの口にするりと滑り込ませる。
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「・・・ぅ! ゴホッ ゴホッ ゴホッ!!」
カラスの口から、黒い煙の塊がいくつも吐き出される。