Ⅹ(クロス)
「・・・で、お前は?」
「え?」
リディアは前方を歩くユウリの背中を見る。
「大丈夫なのかよ。」
「ぁ・・・ええ・・・」
リディアは静かに答えると、その視線をゆっくりと湖の向こう側へ移した。
立ち込める白い煙は光を拡散させ、その行く先を曖昧にさせる。
(過去を振り返ったら、きっと悲しみに押しつぶされる。
きっと一歩も先へ進めなくなる。
でも、私は進まなければならない。
その為に、ここへ来たのだから・・・。
でも・・・ でも・・・)
リディアは俯いてその小さな手をぎゅっと握り締める。
「ほら。」