Ⅹ(クロス)
ふいに、リディアの前にユウリの大きな手が差し出される。
「ぇ・・・ぁ・・・」
リディアがそろそろと手を差し出すと、ユウリはグイとそれを引き寄せた。
「ぁ・・・」
「もっと近くを歩いてな。 迷子になっちまうぞ。」
ぶっきらぼうに言う、ユウリの手は暖かい。
「そうそう。 リディアさん、ほんとは、僕が手を引いてあげたいくらいなんだけど・・・
ごめん。 こんなになっちゃってさ・・・」
カラスが向こう側から覗き込んで言う。
「全くだぜ。」
ユウリが呟く。
リディアは思わず顔を赤らめる。