Ⅹ(クロス)
リディアは暫くじっと目を伏せていたが、

やがて自分に言い聞かせるように小さく一つ頷き・・・

その目を真っ直ぐにナフサへ向ける。


「ナフサ様、私はラドニアで心を病んだ子供たちを見ました。

このままではラドニアには笑顔の無い子供達が、もっともっと増えていく事でしょう。


私は、ラドニアが好きです。

16年間生きてきた、ラドニアの空が、大地が、そして、民が大好きです。


そのラドニアから、これ以上生気が失われていくのは、もう見るに耐えません。

出来ることならラドニアにもう一度、このロトスに吹くような風を吹かせたい。

人々の笑顔が見たいのです・・・。」


ナフサは険しい目をしてリディアに問う。

「その身を引き換えにしても・・・かの?」


リディアは、一瞬ハッと息を飲む。

しかし、その目は逸らされることはなかった。


「私は・・・その為に此処に生を受けたのでしょう?

それが、私の定めなら・・・

私はそれを受け入れます。」


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