Ⅹ(クロス)

「親父の研究は完璧だった。

ただ、まだそれを燃料として使うには、早すぎたんだ・・・。」


カラスの母親は厳しい顔でカラスを見る。

「同じ事を繰り返す気かい? カラス。

それに、今度はあんただけの問題じゃないんだよ!!」


「お袋・・・ 同じじゃない。

その為に、ラドニアから何年もかけてパーツを集めた。 

何度も、何度も試作を繰り返した。

絶対に飛べる。」


「ラドニアは戦場かもしれないんだよ。」


「そんな事、分かってる。」


「全く・・・あんたって子は・・・。」


「頼む。 行かせてくれ。」


「どうしてそういうとこばっかり、父親に似るのかねぇ・・・。」

カラスの母親は両手を上げて体を背ける。

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