Ⅹ(クロス)

――カチ カチ カチ・・・

時計の音が、耳に付く。

もうどのくらい、ここにいるだろうか・・・

時計の針が何回まわったかも、忘れてしまった。


王妃アーリアは、ふとある事に気付く。

(静か・・・過ぎる。)

いつの頃からか遠くに聞こえていた、音・・・。

コンビナードに聳える巨大な動力炉の轟音は、王宮にいても、微かな振動と共に、常に耳の奥に聞こえていた。

それが、今は消えている・・・。


(何故・・・?)

フェルナンドは、あの日から姿を現さない。

デスクの上の端末は、二日前から止まったままだ。

(まさか・・・)

アーリアの胸がざわざわと嫌な音を立て始める。


――ドンドンドンッ!


「誰か!!

誰かいますか?!

お願いです。

ここから出してください!!

誰かー!!」


アーリアは声を限りに叫んだ。

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