Ⅹ(クロス)

アーリアの声は嗄れ、その白い手からは薄っすらと血が滲み出す。 

その時・・・


――カチャッ


厚い木のドアの鍵が開いた。

ゆっくりと開かれるそのドアの向こう側には、白髪の小柄な男。

「あ、あなたは・・・」

フェルナンドの重鎮、オウガが立っていた。


「オウガ、あの人は、フェルナンドはどこです?!」

アーリアは、オウガの肩を掴んで問いただす。


「国王陛下様は・・・

動力炉へ行かれました。」

オウガは、険しい表情でアーリアにそう告げる。


「何故です?

何故この時期に動力炉へ・・・

動力炉は一体どうなっているのです?

何故、音が聞こえないのです?!」

アーリアは矢継ぎ早に問う。

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