Ⅹ(クロス)
「リディア、もう一度だけ聞く。
本当にいいんだな。」
助手席に座っているユウリが振り向かずに訊ねる。
「ええ。
それより、二人を巻き込んでしまって・・・ごめんなさい。
私・・・」
「バカが・・・!
俺達は巻き込まれたわけじゃねェ。
自分の意志ってヤツよ。だろ?カラス」
ユウリが怒ったように言う。
「そうだよ。リディアさん。
コイツを飛ばすのは僕の夢だったし。
それに、リディアさんがいなかったら、ロトスはやられてたかもしれない。
だから、むしろ感謝するのは僕らの方だって。」
「ありがとう。」
リディアは小さく頷いた。
「えっと、それじゃエンジン起動するよ。
じゅ・・・準備はいい?」
緊張したようなカラスの声が響く。
その手は、カタカタと小刻みに震えていた。