Ⅹ(クロス)
『あー、えー、兄貴―、聞こえるー?!
兄貴、緊張するとヘマするからさぁ。
リラックス、リラックスぅー!
ちゃんと飛ばせないと、アタシが許さないからねー!!』
「あ、ココ、あいつ・・・」
『カラス、自分を信じろ!
それだけだ。』
「ブロスだ・・・。」
『カラスくん、成功を祈りますよ。』
「ライトまで・・・。」
『カラスいいかい、しっかりしな!
それは父さんの形見なんだ。
きっちり飛ばすんだよ!!』
「お袋・・・」
「・・・ユウリ・・・ありがとな。」
カラスはゴシゴシと目を擦って無線のスイッチを切ると、大きく息を吸い込む。
そして、それをゆっくり吐き出すと、真っ直ぐ前を向いて両手で操縦桿を握った。
(親父・・・見ててくれ。)
「エンジン、起動!!」