Ⅹ(クロス)

「バカヤロー!

お前は引っ込んでろ。」

ユウリは体を機体に固定させながら、さらに反撃を続けた。


飛行機は海岸線を北上する。


「リディアさん、動力炉の方向はこっちでいいよね。」

カラスが前を向いたまま問う。


「え、ええ。」


「ってことは・・・もしかしてアレに向かってるの?!」


リディアは前方を見て愕然とする

「ぁ・・・あれは・・・」

リディアの声は震える。


確かにコンビナートの中にあった筈の巨大な建物・・・

その姿はどこにも見えない。

代りにそこには、ぐるぐると大きな渦を巻く、巨大な黒い霧の柱が聳え立っていた。

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