Ⅹ(クロス)
「ですが国王陛下、このままでは・・・」


――ブツ


フェルナンドは無線のスイッチを切った。

そのまま倒れこむようにして、操作パネルに向かう。

目の前のスクリーンには兵器のエネルギー充填率が表示されている。


(充填完了時刻まで、あと32分50秒か・・・)

フェルナンドはその体をガタガタと震わせながら、壁面にずらりと並ぶモニターの画面に目を遣った。

そのほとんどの画面が黒い霧のようなもので覆われている。


「ん?」

フェルナンドは、モニターの中の一枚に異変を感じ、そのモニターの画像をもう一度再生してみた。


「これは・・・」


動力炉の周囲を写すそのモニターには、確かに上空を飛ぶ、銀色の飛行機の姿が映っていた。


「クロス・・・か。なかなか早い到着だな。

ならば、こちらも急がねばならぬな。」

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