Ⅹ(クロス)
カラスの飛行機は、そのプロペラを上にしてゆっくりと動力炉の近くに着陸した。
渦を巻く黒い霧は、徐々にその大きさを広げてきているように見える。
辺りには、ジプサムの格納庫と同じような異臭が立ち込めている。
「リディアさん、とても近付けるような状態じゃないよ。」
カラスは、口を押さえながら巨大な黒い柱を見上げる。
「ジプサムに、何か異変が起きているんだわ・・・」
リディアがそれに近付こうと歩き出した、その時
上空から、パラパラというプロペラ音が聞こえてきた。
それは、ゆっくりとその機体を下げてくる。
「何だ?!ラドニア軍か?!」
ユウリは銃を構える。
そのヘリコプターはリディア達の100Mほど先にゆっくりと着陸する。
そこから降り立った女性を見て、リディアは目を見開く。
「あれは・・・!」