Ⅹ(クロス)
リディアは急いでその後を追う。

「その霧に触れては駄目です!!」


言うが早いか、渦巻く霧の柱から黒い大きな触手が放たれる。

それはアーリアの体を捉え、その体を弾き飛ばした。

「うっ!!」

アーリアの体は無残に地面に叩きつけられる。


「お母様!!」

リディアはアーリアの元へ走った。


「クソッ! 何なんだあれは!!」


――ガガガガガッ


ユウリはその霧に発砲するが、その弾は全て渦に巻き込まれて行く。


「お母様! お母様!!」

アーリアの肩を抱いて、泣きながらリディアは叫ぶ。

アーリアは、震える両手をリディアの頬にそっと当てると、擦れた声でリディアに言った。


「リディア、あの人を止めてください。」

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