Ⅹ(クロス)
「お母様・・・」


「あの人は、その心を何者かに捕らわれてしまったのです。

このままでは、全てが、このラドニアを含む全てが無くなってしまう・・・」


リディアはグッと唇を噛みその涙を拭うと、アーリアに向かって小さく微笑んだ。

「分かりました。お母様。」

そしてアーリアの体をそっと横たえると、両手を握り締めて立ち上がる。


「リディア!!」

「リディアさん!!」

ユウリとカラスが駆け寄って行く。


「来ないで!!

あのジプサムの暴走を止めるのは、

私の役目です。」

リディアは、凛とした声でそう言い放つと、大きく二人に頷いてみせた。


――ドクン

――ドクン


リディアの体から緋色の光が溢れ出す。

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