Ⅹ(クロス)
その光は何本もの帯となって、リディアの体から広がり始めた。


リディアは一歩一歩黒い渦に近付いて行く。

緋色の光の帯は、リディアの体を護るように、その周りを大きく取り巻いている。

そして、その緋色の光の帯が黒い渦に触れようとした瞬間――


――バンッ!!


黒い渦から、何本もの太い触手が放たれた。

――ゴォォォォッ!!

それはリディアの光の帯を取り巻いて、激しい力を送り込む。


「うぅぅ!!」

リディアは両肩を掴み、硬く目を閉じながらさらに前へと進もうとする。

――ゴォォォォッ!!

黒い触手は遂には光の帯を突き破り、リディアの体を締め付けると、それを空中高く持ち上げた。


「いやぁぁぁぁ!!」


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