Ⅹ(クロス)

王妃アーリアは、フェルナンドの体を起こし、その腕に抱きかかえる。


「義姉上・・・何故・・・ここに・・・」


「あなたに会いに来たのですよ。

フェルナンド。」


フェルナンドは荒い息を吐きながら、苦しそうに嗤う。

「ああ・・・全く滑稽ですね・・・

何も出来ないまま、全てが終わってしまうとは・・・」


アーリアは、フェルナンドの変わり果てた顔にその手を沿わせる。

「もう・・・充分ですよ。 フェルナンド。

あなたは、このラドニアの為に尽くしてくれたではありませんか。」


「義姉上・・・」

フェルナンドは震える手でアーリアの腕を掴む。


「私を・・・お許しくださるのですか」

< 378 / 401 >

この作品をシェア

pagetop