Ⅹ(クロス)
「あなたが悪いのではありません。
ラドニアは、その向かうべき方向を誤ってしまったのでしょう。
それは、誰にも止めることは出来なかった・・・。」
「しかし、私は兄上を・・・」
「フェルナンド・・・
私はもう少し、あなたの気持ちを分かってあげなくてはならなかったのかもしれません・・・」
「義姉上・・・」
フェルナンドの目から溢れ出た涙が、アーリアの手を濡らす。
「あなたはもう、ジプサムから解放されたのです。
ゆっくり、お休みなさい。
フェルナンド・・・。」
「義姉上・・・私はずっとあなたを・・・
愛していました・・・」
フェルナンドは、アーリアの目を見つめながら僅かに微笑むと、静かにその黒い瞳を閉じた。