Ⅹ(クロス)
「しかし王妃様、
ラドニアをこのようにしてしまったのは・・・
フェルナンド様をこのような姿にしてしまったのは・・・
私です・・・。」
オウガの硬く握った拳に涙が落ちる。
「いいえ、それは違います。
それは全て王室がしてきた事。
こうなる事に気付かなかった、私たちが悪いのです。」
「王妃様・・・。」
「オウガ、これからのラドニアを、あなたが支えていってはくれませんか。」
「何をおっしゃいます!」
「もう、王室が政治を司る時代は終わったのです。」
「そんな・・・」
オウガは声を詰まらせる。
「そうですね。リディア。」
アーリアはリディアを見上げて言う。
「ええ。」
リディアは大きく頷く。
アーリアは、オウガを真っ直ぐに見つめて言った。
「国は、王室が創るものではありません。
国は、民が創るのですよ・・・。」