Ⅹ(クロス)
言いながら、リディアは女の子に近付いていく。


「あの子ね、全然しゃべらないの。」

「全然食べないんだよね。」

シスターがリディアに近付き、その肩に手を置いた。
リディアはその手をそっと離すと、僅かに首を横に振る。

そして、女の子の前まで行って静かに膝を折ると、その手を取り、真っ直ぐにその目を見上げた。


「私に、お話があるのね?」

女の子は、微かに頷く。

リディアは大きく頷いて、女の子をその胸にそっと抱きしめた。

「怖がらないで。
私はこの国の王女だけれど、あなたと同じ、このラドニアの大地に立ち、ラドニアの空気を吸っているわ。

だから・・・
私たち、お友達よ。」

リディアはそう言いながら、もう一度、慈愛に満ちた瞳で女の子の瞳を見る。

「リディアよ。」

女の子は、一瞬俯いて、手のひらをぎゅっと握ると、リディアに向き直って言った。


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