Ⅹ(クロス)
「わぁーーーーーー!!!」
下の方から大きな歓声が沸き起こる。
見下ろす王宮の庭には、溢れんばかりの民衆。
皆、目に喜びの涙を浮かべて叫ぶ。
「リディア様――!!」
「姫様――!!」
「クロス様――!!」
「みんな、ずっとここで待ってたんだぜ。
リディアが目を覚ますのを」
「みんな・・・私の為に・・・」
リディアは涙をぬぐってバルコニーに立つと、身を乗り出して叫ぶ。
「みなさん・・・ありがとう!!
本当に、ありがとうございました。」
王宮の庭には、再び、わぁっという歓声と割れんばかりの拍手が溢れた。
大人も・・・
子供も・・・
みな、笑っている。
かつて人々の中にあった、焦りや、苦しみ、憎しみは、もうそこには無かった。