Ⅹ(クロス)
「パパも、ママも・・・
おかしくなっちゃったの。

毎日お仕事ばかりしてて、いつもおうちにはいなくて、ミチルが笑っても笑ってくれなくて、ミチルの傍には、もういられないって・・・

それで・・・それで・・・」

女の子の目からはぽろぽろと大粒の涙が零れる。

リディアはこらえきれずに、女の子をかき抱く。

「ここに来るまでずっと眠れなかったの。

体が・・・寒かったの。

でも、リディア・・・様のお洋服を着たら、体が温かくなって、そ・・それで・・・

あ、ありがとうございました。」


女の子の声が途切れ途切れに胸元から聞こえる。

リディアは、言いようのない不安と焦燥が心に湧き上がるのを感じながら、女の子の頭を優しくなでた。


「ここの子供達は、みんなあなたのお友達よ。
みんなあなたを護ってくれるわ。

私も・・・あなたを護ってあげる。

大丈夫よ。
きっとまた、みんなで笑い合える時が来るわ。

だから・・・もう・・・大丈夫。」

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