Ⅹ(クロス)
ころころと鮮やかな色のオレンジが地面に転がる。
リディアの目に、前を駈けて行く小さな男の子の後ろ姿が映った。
「待って!!」
リディアが足元のオレンジを拾い、男の子に叫んだ瞬間――
男の子はくるりと振り返り、落ち窪んだギラギラした目でリディアを見据え、右手で鉄砲の形を作る。
その人差し指は真っ直ぐにリディアに向かって差し出され、すっと上にあげられた。
(何?!)
リディアがそう思う間もなく――
―― パ――ン!!
一瞬動きの止まった空間に、音無き音が響く。
男の子はニヤリと嗤ってきびすを返すと、人混みの中に消えていった。
(どうして・・・ どう・・・して・・・)
リディアはその場にがっくりと膝を着き両肩を掴むと、ガタガタと小刻みに震えだした。
「リディア!!」
誰かがリディアに駆け寄って来る。
リディアは、霞んだ目でゆるゆると男を見上げた。
「叔父・・・様・・・」
リディアは男の目を見てそう呟くと、その腕の中に崩れ落ちた。
リディアの目に、前を駈けて行く小さな男の子の後ろ姿が映った。
「待って!!」
リディアが足元のオレンジを拾い、男の子に叫んだ瞬間――
男の子はくるりと振り返り、落ち窪んだギラギラした目でリディアを見据え、右手で鉄砲の形を作る。
その人差し指は真っ直ぐにリディアに向かって差し出され、すっと上にあげられた。
(何?!)
リディアがそう思う間もなく――
―― パ――ン!!
一瞬動きの止まった空間に、音無き音が響く。
男の子はニヤリと嗤ってきびすを返すと、人混みの中に消えていった。
(どうして・・・ どう・・・して・・・)
リディアはその場にがっくりと膝を着き両肩を掴むと、ガタガタと小刻みに震えだした。
「リディア!!」
誰かがリディアに駆け寄って来る。
リディアは、霞んだ目でゆるゆると男を見上げた。
「叔父・・・様・・・」
リディアは男の目を見てそう呟くと、その腕の中に崩れ落ちた。