Ⅹ(クロス)
カツカツカツ・・・
「オウガ! オウガはいるか!!」
言いながら、フェルナンドは重いドアをバタンと開ける。
王宮の軍の官房室がある地下室は、暑いこの季節でもひんやりと冷たい空気が漂っている。
「どうなさいました? フェルナンド様。」
オウガは持っていた受話器を置く。
「オウガ、例の件はどうなっている?」
「丁度今、お知らせしようと思っていたところです。
恰好の人物が見つかりました。」
「そうか! よくやった!
実は、子リスが一匹動力炉へ迷い込んでな。
事態は急を要することになった。」
「なるほど・・・。
それでは、如何いたしましょう。」
「準備が出来次第、決行する。
お前は、私の指示を待て。
よいか。決してしくじるな!」
「畏まりました。」
オウガはニヤリと笑ってフェルナンドを見上げた。