Ⅹ(クロス)
フェルナンドはそう淡々と告げると、リディアの隣に跪いた。
「兄上、さぞかしご無念だったことでしょう。
私の忠告に少しでもお耳を傾けてくれさえすれば、ナユタに付け入る隙など与えなかったでしょうに・・・。
かくなるうえは、このフェルナンドが必ず仇をとって差し上げますゆえ、どうかゆっくりとお眠りくださいませ。」
後ろでは、母アーリアがハンカチでその口元を押さえ、溢れる嗚咽を押し殺している。
リディアは、ふとフェルナンドの胸元に目を落とす。
その王国服の中程にあるボタンは、一つ、毟られたように無くなっていた。
「兄上、さぞかしご無念だったことでしょう。
私の忠告に少しでもお耳を傾けてくれさえすれば、ナユタに付け入る隙など与えなかったでしょうに・・・。
かくなるうえは、このフェルナンドが必ず仇をとって差し上げますゆえ、どうかゆっくりとお眠りくださいませ。」
後ろでは、母アーリアがハンカチでその口元を押さえ、溢れる嗚咽を押し殺している。
リディアは、ふとフェルナンドの胸元に目を落とす。
その王国服の中程にあるボタンは、一つ、毟られたように無くなっていた。