ハッピーエンド・スーパーノヴァ
この子は俺に何を求めているんだ。

向こうのカウンターで、マスターの親父とウェイトレスのお姉さんが「泣かした」「泣かしましたねぇ」とこちらを見ながらヒソヒソ話している。

「そっ、そうだね。棘のないバラなんてスリルが無い、って米米クラブも歌ってたし」

「でしょ?ユウちゃんは、やっぱオトナだねぇ。ケンちゃんも見習ってほしいわ」

少女は、パッと薔薇のような笑みを咲かせた。

かわいい。だが、間違ってる。

とりあえず、まったく役にはたたない情報のはずだが、これもボスにメールしておこう。

その後、二人でサンドイッチを食べていると、俺の携帯のメール着信が鳴った。

それはボスからで、

「薔薇曰く、我を守るもの、そは棘にあらずして匂い。 Byポール・クローデル」

と書かれていた。

この人もこの人で、俺に何を求めているんだ。寝てたんじゃないのか。

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