学園皇子はメガネ少女に夢中
皇子は黙ってアタシに近付くと
「外までイビキが響いてたけど、そんなに疲れてたの?」
なんだろう
この見るからに感じる悪意は
「愁滋、女性に向かって失礼だろ」
あぁ美沢さん貴方が天使に見えます
アタシが美沢さんに向かって拝んで居ると
「薫風!!」
と強めの皇子の声が頭上から落ちてきた
ゆっくり顔をあげると
「お前は俺だけ見てれば良いんだ!!」
とか訳の解らない事を言い出す始末
「皇子…」
きっと皇子は…
「薫風」
そう言ってアタシに手を伸ばした皇子の手を握り
「病院、行ってみますか?」
「「「はい?」」」
これにはずっと見守っていた繭ちゃんと美沢さんも不思議そうに声をあげた
「皇子は重い病気です。人前でキスしたりするし女性がとにかく好きだし。このままじゃ結婚詐欺師になりかねません!!」
アタシの力説に美沢さんが爆笑しだした
「あははサイッコーだわ!うん良く解った。」
皇子と言えばアタシと美沢さんが話すのが気に入らないのかずっと不機嫌そうにしている。
「…」
多分親友を取られた気分なんだろう
「あ!」
ふと時計を見ながら繭ちゃんが言った
「アタシ帰らなきゃ!!」
ごめんねという繭ちゃんに
「あじゃ「送るよ」
美沢さんの声を遮ったのは皇子だった。