学園皇子はメガネ少女に夢中


「なぁ」

「ふぁい」

不意に声をかけられた私はなんとも間抜けな返事を返してしまった


「腹減らね?」


「ですねぇ」


オムライス

ハンバーグ

ラーメンも良いなぁ

いやいやエビ天うどんも捨てがたい


でもやっぱり


「「かつ丼かなぁ」」


「え」

「お」


「か、じゃなくてかつ丼ですか?」


「うん。薫風もだろ」


なんか変なとこ庶民だな
この人


しょうがないので私たちは食堂にかつ丼を買いに行く

私たちは重要な役職だけあって少しだけ優遇される

私は一年の時から執行部に居たのでトントン拍子に副会長になった

皇子は前会長の推薦だった

私は選挙の日に不運にもインフルエンザに掛かりしかも前会長は皇子を推薦した事を教えてくれなかったというこの不幸さに加えての







「薫風、あーん」


この悲劇


今時カップルでも中々見ねぇよ!?


私が食堂から持ち帰ったかつ丼を持って固まって居ると皇子は尚も「あーん」と言っている


「あの、手が不自由なんですか?」


私の問いかけに皇子は「は?」という顔をする

しかしすぐに

「そうなんだ」と満面の笑みで返してきた



私はこの時墓穴を掘ったのだと悟った。
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