ココア
『さて、これで無事に
出生届が出せました。
恋汰くん、恋次くん、
ありがとう。』
そう言って、妹の母親は
ニッコリ微笑んだ。
『お兄さん達から
お名前を頂いて、妹は“恋”に
しました。どうぞよろしく。』
『俺のレンレンが…』
そう言って、シクシク
項垂れる親父を他所に
俺も兄貴も感無量だった。
それから、遥かな時を超えた。
初めて笑った日の事、
歩き始めた時の事、
手を繋いで散歩した事、
初めての彼氏のココロを
叩き折ってやった事は、
…兄貴は相当呆れていたが。
とにかく、レンが可愛いかった。
キモチ的には、父親に
近いかもしれない。
そして、俺が
ヘッドハンティングされた、
会社へ入社早々、
新入社員名簿に、レンの名前を
見つけた時の驚き。
あの年度の社員は
どいつもこいつも
キャラが濃かったな(笑)
俺たち兄弟の名前は、
苗字が違えど、明らかに
何らかの関係性を匂わせる。
入社早々、縁故だの
なんだの、噂が立っては
お互いに不利益だ。
しかも、レンに至っては
キャラに合わないと
漢字にコンプレックスを
持っている。