ココア
 

「真月。こっちだよ。」

ホテルのラウンジで、透を含むバンドのメンバーと、落ち合う。

「お待たせっ。あれ?
透、それなに?」

「あ?ああ、義理チョコ。
うちの事務所の子から。
ってか、アイツ持って帰ってこない?」

「アイツって、樹里?」

「そう。ムッツリ純情鷹尾。」


ムッツリって・・・
意外と、大胆だわよ?

って、何の話だか。


「いや、もらってない
みたいよ?」


ん?あれっ?
そういえば、そうだ。

でも、あのルックスで?


学校で食べてんのかなあ?
もしかして、
気を遣わせてる?

 
「真月、旦那に義理チョコ
やらねぇの?」

何故に、義理っ?!

「あっ新婚の時くらい
そういうの参加しとけよ?
夫婦なんて、
すぐにドライに
なんだからさ。」

乾いた助言を、アリガトウ

・・・って、あんたたち
私が参加しない前提で
モノ申しているわねっ?!


・・・そのつもりだったけど。


参加するわよっ


啓太君の意味不明メールも
あるけど。


・・・材料、買ってきたもん。
結構、楽しかったんだな
これが、また。


そして、何より、樹里は
私には出来過ぎた
ダンナちゃまだから。


私は、きっと、一般よりも
ドライなほうなんだけど。


ちゃんと
大好きなんだよ
樹里。



 
< 8 / 65 >

この作品をシェア

pagetop