ココア
「真月。こっちだよ。」
ホテルのラウンジで、透を含むバンドのメンバーと、落ち合う。
「お待たせっ。あれ?
透、それなに?」
「あ?ああ、義理チョコ。
うちの事務所の子から。
ってか、アイツ持って帰ってこない?」
「アイツって、樹里?」
「そう。ムッツリ純情鷹尾。」
ムッツリって・・・
意外と、大胆だわよ?
って、何の話だか。
「いや、もらってない
みたいよ?」
ん?あれっ?
そういえば、そうだ。
でも、あのルックスで?
学校で食べてんのかなあ?
もしかして、
気を遣わせてる?
「真月、旦那に義理チョコ
やらねぇの?」
何故に、義理っ?!
「あっ新婚の時くらい
そういうの参加しとけよ?
夫婦なんて、
すぐにドライに
なんだからさ。」
乾いた助言を、アリガトウ
・・・って、あんたたち
私が参加しない前提で
モノ申しているわねっ?!
・・・そのつもりだったけど。
参加するわよっ
啓太君の意味不明メールも
あるけど。
・・・材料、買ってきたもん。
結構、楽しかったんだな
これが、また。
そして、何より、樹里は
私には出来過ぎた
ダンナちゃまだから。
私は、きっと、一般よりも
ドライなほうなんだけど。
ちゃんと
大好きなんだよ
樹里。