追いかけて~恋の行方
その後、俺らは軽くドリブルの練習をし、せっかく二人いるのだからとトラップ&キックをすることにした。

が、これが間違いのもとだった。

まともに返ってこないボールを、俺は走って取りにいく羽目になり、15分も過ぎた頃には汗だくになって音を上げた。

「レイ、お前、中学で何やってたんだ? 試合に出ないってったって、これじゃ練習にもならんだろ?」

「だって…」

俺の呆れたもの言いに、麗はそう言うと俯いた。

俺はボールを手に、麗の近くへ歩み寄る。

「だって何だ?」

覗きこんだ俺は、そのまま言葉を呑み込んだ。

麗はその大きな目に涙を一杯貯めて、唇をかみ締めて俺を睨んでいたから。

「だって、お味噌だったんだもん。あたしが女だからって、誰もまともに相手なんかしてくれなくて……あたしは上手になりたかったのに」

「わかった、わかった。俺が悪かった」

俺は両手を上げて降参のポーズ。

こんなとこで、こんな状況で、抱きしめる訳にもいかねぇじゃねぇか……


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