追いかけて~恋の行方
タオルで汗を拭いながら、麗と二人、並んで土手に腰を降ろす。

俺は麗の作ってきた、お手製のレモネードを口にしていた。

「よかった、飲み物作ってきてて。
先輩、いっぱい走らせちゃって、ほんとすいません」

「もう、いいって。それにしても、これ、うめぇな」

「でしょ。疲れた時は、これに限りますよね」

笑顔の麗が、もう一杯どうですか? と手を差し出す。

いや、もう十分、と俺は空のカップを麗に渡し、そのまま後ろに倒れこんだ。

雲ひとつない青空。

昼近くなり、日差しもだいぷ強くなってきた。

目を閉じると、瞼に太陽の日差しが心地良い。

「先輩? ねぇ、やっぱり、あたしを彼女にしてよ」

躊躇いがちに聞こえた、麗の小さな声のあと、俺の唇に暖かい何かが触れた。

チュ、と小さな音をたてて唇が離れたあと、

「好き……」

と微かな呟きが聞こえた。

お前、それ、反則だろ?

目、開けれねぇじゃねぇか……



< 103 / 171 >

この作品をシェア

pagetop