追いかけて~恋の行方
電車に二駅乗って、駅から歩いて十分ちょっと。

一人で帰ると、長いなって思うけど、
嗚呼、もう着いちゃった。

「明日と明後日は練習だから、真っ直ぐ帰れよ」

「えぇ~」

「土曜はまた、午前中練習付き合ってやるから」

「ほんと?」

「嘘なんて言うかよ」

「嬉しいっ!」

あたしは思わずアックンの腕に抱きついた。

「レイ、くっつくな、変な気分になる」

見上げるとアックンが困った顔してる。

「だって、嬉しいんだもん」

あたしが構わず抱き付いてると、無理やり引き剥がされた。

「じゃ、土曜な」

アックンがあたしの頭をポンポンと叩く。

「あっ、そうだ、携帯番号、メールも教えて!」

あたしは、鞄をゴソゴソ探して、マイ携帯を取り出した。

「悪りぃ、俺、携帯もってねぇんだ」

「えぇ~っ、嘘?」

「嘘なんて言うかよ」

「だって、雨降ったらどうすんのさ?」

「雨降っても行くから。大橋の下で待ってろよ」

「まぁ、しかたないかぁ」

あたしは渋々納得する。

でも、携帯持ってないなんて、有り得ない。

アックンてばどういう生活してんのかな。
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