追いかけて~恋の行方
歩き出したものの、俺は行く先がわからねぇ。

「おい、ナギサ、指輪ってどこで買えるんだ?」

「あっ、そうだよね、あたしの知ってるお店でいい?」

「いいもなにも、俺にわかるわけねぇだろ」

「そうだよね」

そう頷く渚の横顔をちらっと覗くが、別段変わった様子は見られない。

今日の渚は珍しくスカートなんてもんを履いてやがる。

指輪買いに行く、って言ったからかもしんねぇけど。

俺と会うって、こいつがお洒落して、こんな風にかしこまるのを見ると、なんだかちょっとくすぐったい。

実際、渚はこうして見ると結構美人なんだ、これが。

「あっ、こっち」

渚が立ち止まり、曲がり角を指差した。
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