追いかけて~恋の行方
「お前は? ナギサ?」

俺は紙に並んだ、こっぱずかしい文字を眺めながら渚に声をかける。

「あ、あたしはもう決めてあるから」

軽くかわされて、俺は言葉を失う。

おう、渚、お前は随分と用意がいいこって。

「シノブくん? そこに無ければ、10文字までなら無料で入れてあげられるよ」

ご丁寧に美里さんが、そう言ってくれたけど。

この俺に、一からこの儀式に足を突っ込めと……

そんな面倒なことできっかよ……

はぁ、と俺は大きくため息を付いた。

この中から、選ぶっきゃないよな……

『with love』『eternal love』『my girl』『my sweet heart』』『my angel』……『2010 A to B』

横文字ながら、どこまでもこっぱずかしい文字が並ぶ。

渚、お前は、どれを選んだんだ?

渦まく思考の端にひっかっかった、数字から始まる記号。

あ、これでいいじゃん。このいっちゃん最後のシンプルなやつ。

この記念すべき2010年、忍から渚へ、

『2010 S to N』

これでどうだ!
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