追いかけて~恋の行方
「じゃ、確かに承りました。文字入れに中4日は欲しいから、出来上がりは金曜日ね」

渡された受取伝票を手に、またここへ来んのか、と俺は少し憂鬱になる。

「あたし受け取りに来ようか?」

渚がそんな俺の表情を先読みしたかのように声を上げた。

「俺がお前にプレゼントすんだろ? お前が先に受け取ってどうすんだよ」

その気持ちは嬉しいが、そこんとこ、いくら俺でも間違うわけにゃいかねぇだろ。

「あっ、そっか」

ペロっと舌を出して、渚の奴、何おどけてやがるんだ。

確か、来週土日は練習試合があるって言ってたよな……

でも、ま、どうにかなるか。

「あの、この店、夜は何時までですか?」

とりあえず、俺はありったけの情報を集めにかかる。

「あ、えっと、平日は7時まで、土日は8時まで。
これ、お店のカード、あげとくね、電話番号とかも載ってるから。
もし、時間ギリギリだったら電話してみて」

美里さんに、『Pledge』と白地に金文字で印刷されたカードを渡され、俺はまた考える。

クラブ終わって、ギリギリ7時。間に合わなきゃ土日の夜か……

ま、ホワイトデーまではまだ間があるし、どうにかなるよな。
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