追いかけて~恋の行方
ま、私服の俺は、大人びて見える。

それは確かだ。

さっきも麗のお袋さんに、大学生に間違えられたし。

でもな、余裕なく、こんな必死こいてお前を追ってきた俺が、大人みたいで怖いって……

俺はどうすりゃいいんだよ……

「レイ、俺はお前より、たった一つ年上なだけだぞ」

俺は麗の頭に手を載せ、できるだけ優しく囁いた。

「うん、でも、絶対大人に見えるよ。あたしなんてアックンの隣りに似合わない」

「勝手に決めんなよ」

「だって……」

目を真っ赤にして、こんなに怯えて泣く、麗をこれ以上責めることなんて俺にはできねぇよ。

だけど、

「俺のレイを好きな気持ちはどうすりゃいいんだよ」

俺はその場に倒れ込み、空を見上げて手を伸ばす。

「レイこそ、あの雲みてぇに、とどかねぇ」

そう呟いて、目を閉じた。

柄にもなく、涙がこぼれちまいそうだったんだ。

「アックン?」

急に黙った俺を気遣ったのか、麗が不安そうに俺の名を呼んだ。

「レイがいないと駄目なんだ、側にいて欲しいんだ」

俺は心からの叫びを、恥ずかし気もなくそのまま口にした。

そして、じっと麗の言葉を待つ。
< 151 / 171 >

この作品をシェア

pagetop