追いかけて~恋の行方
「わぁ、可愛いお店だね」

店に入るなり、麗は嬉しそうに声をあげた。

「ペアリングもいっぱいある」

「やっぱ指輪がいい?」

俺は少し不安になって、麗の顔を覗き込んだ。

「ううぅん、ペンダントがいい。いつもつけてられるから」

「そっか、で、俺がいいなって思ったのはコレ」

俺は、カウンターのショーケースの中に飾られた、シンプルな銀のプレート型ペンダントを指差した。

「ここに、好きな文字を刻んでもらえるんだ」

「わ、素敵! ロマンチック」

キラキラした目で俺を見つめる麗。

だから、反則だろ、その反応は。

「で、アックンは、なんて入れてくれるの?」

「それは、ヒ・ミ・ツ」

「えぇ~」

「貰った時のお楽しみだろ、そういうもんは」

「そっかぁ~」

「はい、だから、レイはちょっと他でも見てて。俺はその間に注文しとくから」

俺はそう言うと、麗をくるりと後ろを向かせ、陳列棚の方へと追いやった。
< 155 / 171 >

この作品をシェア

pagetop