追いかけて~恋の行方
もうすっかり暗くなった夜道を麗と並んで歩く。

しっかり手を繋いで。

ほんとは肩を抱いて、もっとくっついて歩きたいけど、麗が怖がるといけないから我慢する。

「麗、今日は買い物付き合ってくれてありがとな」

俺は、ハラハラドキドキさせられた一件をすっかり忘れ、楽しかった一日に感謝していた。

「えぇ~、お礼なんていらないよ。
あたしの方こそ、なんかタナボタって言うか、プレゼントまで貰っちゃって悪いなぁ」

「お前のチョコも入ってたんだろ? あの中に。
だったら、お返し、遠慮なく受け取れよ」

「えぇ~、だってアレ、義理チョコだよ?」

義理チョコって、あっさり言うなよ麗、傷つくじゃねぇか。

「へへ、ほんとはね、アックンにあげようと思って、チョコクッキー焼いたんだ。でもさ、今年のバレンタイン、日曜だったじゃない? よく考えたら、あたし、アックンの家なんて知らないし、月曜に義理チョコと一緒に渡すのも気まずいし、結局渡せなかったんだよね」

ペロっと舌を出して、麗がおどけた。

「で、そのチョコクッキーは今どこに?」

「それは、もう、あたしのお腹のなか」

麗はニッコリ笑って、自分のお腹を指差した。

「でも、ちょっと焼きすぎで硬かった。アックン食べなくて正解だよ」

「それでも俺は食べたかったな……麗のチョコクッキー……」

俺はなんか、急に寂しい気持ちになってくる。

「アックン?」

黙った俺を心配そうに、麗が下から覗きこむ。
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