追いかけて~恋の行方
~忍の場合~

『だから、本命チョコ。あたし、シノブが好きだよ』

バレンタインのあの日から、俺はお前に翻弄されっぱなしだ。

そして、気付いたこと。

渚、お前が女だってこと。

俺はお前が好きだってこと。

悔しいが、どうもお前の『好き』が俺の『好き』に勝っているんじゃないかってこと。

男の俺が、女のお前を求める。

これは自然の摂理ってもんで、俺だって男だ、好きだって判ったからにはお前が欲しい。

だけどな、お前を好きな俺の気持ちにも、プライドってもんがあんだよ。

俺は、お前のことを、大切なダチとして、いつも一番に接してきたつもりだ。

それが恋人とか彼女とか、呼び方が代わっただけで、その気持ちがお前の愛って奴に劣るとは、どうにもこうにも納得がいかねぇ。

俺にとってのお前は、今までだって特別で、かけがえの無い存在だったんだ。
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