追いかけて~恋の行方
月曜、俺はやっと時間の都合がついて、『pledge』に指輪を受け取りに行った。

まあ、正直言って、この店に入るのはこっぱずかしいけど。

「あら、シノブくん、遅かったじゃない」

店に入るなり、美里さんが、俺に笑いかけて来た。

「なかなか受け取りに来ないから、怖気づいちゃったっかと思ったわ」

「そんなこと、ないっす。練習とか試合とかで、時間がとれなくて……」

俺はなんか気が引けて、言葉を濁す。

「あ、ごめん、ごめん、あんまり気にしないで。あたしって、どうも一言多いのよね。ハイ、これ、出来上がった指輪」

美里さんは、カウンターの上のビロードを貼った台の上に、指輪を二つ並べて置いた。

「こっちの大きい方が、シノブくん。これがナギサちゃんの。
刻んだ文字を確認して貰えるかな」

俺はまず、自分が決めた、ナギサの指輪に手を伸ばす。

『2010 S to N』

文字は、きっちりと刻まれていた。

「あ、俺、ナギサがどう頼んだのかわかんないんですけど」

「まぁ、兎に角、見て見てよ」

手にして覗き込んだ、指輪の裏側には、

『as a pledge』(誓いを込めて)

と、刻まれていた。
< 165 / 171 >

この作品をシェア

pagetop