追いかけて~恋の行方
~敦の場合~

「なんだアツシ、なんの用だ?」

「何でって、あ、そっか、お前達ここで指輪作ったのか」

俺は一瞬驚いたが、まぁ、そういう偶然もあるにはあるなと、自分の用事を足すことにする。

上着のポケットから、受取りをカウンターに差し出した。

美里さんが、

「もしかして、あなた達知り合い?」

と、驚きを隠せない様子で聞いてきた。

「知り合いもなにも、同じ学校、同じクラブ、まあ、マブダチってやつ?」

な、と忍を見ると、バツが悪そうに顔を赤らめてやがる。

この状況で恥ずかしがってどうすんだよ、俺もお前と同じ立場だっつぅの。

「高田くんのも、きっちり出来てるわよ。確認して貰える?」

そう言って、差し出されたペンダントの文字を俺は光にかざして目で追った。

『2010 A to R as a pledge』

いつまでも麗を大切に守りたい……俺の誓い。

「こんな偶然って、奇跡に近いかもしれないって思わない?」

突然の言葉に、忍と俺はほとんど同時に美里さんに目を向けた。

「偶然って、今ここに俺達がいるってこと?」

「違う、違う。もっと凄い偶然」

「なに?」
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