追いかけて~恋の行方
「ナギサ?」

俺は、不思議に思って、ひょいと渚の顔を覗きこんだ。

そこに見たのは、唇をかみしめて涙をこらえる渚の顔。

「見るな!」

たいそうな剣幕で怒鳴られた。

俺は仕方なく、後ろに身を引き、渚の背中をただ見つめる。

カチャ、カチャと皿の触れ合う音だけが響く。

どうやら、こいつは皿を洗う手を止める気はないらしい。
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