追いかけて~恋の行方
「嗚呼、僕はミッドフィルダーだから。
常にあいつの動きを追って、そこにボールを集めるのが僕の役目だし。
そうやっていつも見てりゃ、あいつがどんな奴かってことくらい、わかって当然でしょ」

成るほど~と頷きながら、今日の彼のプレーを褒める。

「今日もタカダさんが回したパスが、シノブのシュートに結びついてましたよね」

「あっ、わかる? わかってくれた?」

彼、高田敦の動きも、文句なしに素晴らしかった。

「わかりますよ~ナイスアシストでした」

あたしだって、伊達に忍とサッカー観戦してるわけじゃない。
ニッコリ笑って、親指を突き出した。

すっかり打ち解けて、二人で今日の試合のサッカー談義に花咲かせ、そろそろあたしの家が近く見えてきたとき、

「ナギサちゃんてさ、シノブのことが好きなんでしょ?」

「えっ?」

あたしは、突然の質問に言葉を詰まらせる。

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