追いかけて~恋の行方
「あれ、シノブくん、どうしたの?さっきの勢いは」

俺の上着と荷物を手に、ドアを開けた敦が俺を見るなりそう呟いた。

「別に、その、あれだ……

ナギサの奴、なんて返事した?」

「あっ、そのことね。

まだ返事はもらってないよ。

前向きに考えてって、返事は急がないからって言ってある」

「そっか、わかった。じゃ、あとよろしく」

俺は力なく腕を挙げ、敦の肩を軽く叩いた。

「任せとけって。まぁ、お前も頑張れよ」

「お前の口は信用ならねぇ…」

「信用しろって。俺はいつだってフェアプレーだ」

「わかったよ。『ケジメ』だろ」

「そうそう、『ケジメ』の『ケジメ』。
じゃ、俺、みんなが待ってるから」

敦はいつもの笑顔で平然と戻っていった。

畜生、あいつ、煽りやがる。

俺の中途半端な気持ちを、煽って楽しんでやがる。

気にいらねぇ……
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