追いかけて~恋の行方
直情型のこの俺が、こんな気持ちをかかえたまま一晩を過ごせる筈もなく、
気がつけば部屋の窓を開けて叫んでた。

「おい、ナギサ、このやろう、顔出せ!」

「カ タ ギ リ ナ ギ サ !」

「おい、ナギサ」

「ナ ギ サ !」

おそらく、俺の声に先に気がついたのは湊さんだろう。

一階の風呂場の明かりが一瞬付いて、また消えた。

暫くして、渚の部屋の窓から、見慣れた顔が覗いた。

「ウルサイ、シノブ、近所迷惑だよ!」

「お前が返事しないからだろ」

「話すことはないよ」

「お前になくても、俺にある。兎に角、こっちへこい」

あくまでも俺様を貫き、俺はそう言うと一方的に窓を閉めた。
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