追いかけて~恋の行方
「ついでに交際申し込まれたって?」

「シノブにはか、関係ないじゃん」

「関係ないって……」

「痛いよ、シノブ、手、離して……」

俺は知らず知らずのうちに、すっげぇ力で渚の腕を掴んでいた。

俺はゆっくりと、掴んでいた手を離す。

「悪い、でも、お前、俺のことが好きなんだろ?」

「だからなにさ」

「なにって」

「それはあたしの問題で、あんたには関係ないじゃん」

「関係ないって……」

「タカダくんは、あたしのほっぺにキスしただけだよ」

渚のその言葉に、俺は少しほっとする。

「でも、返事は考え中」

「考え中って……」

「返事は急がないって言われたし」

「お前、アツシのことも好きなのか?」

その瞬間、俺の腹に、渚のキックが綺麗に決まった。

「死ね、シノブ!」

腹を押さえ、痛みをこらえて涙目で渚を見上げると、
あいつはもうくしゃくしゃの顔で泣いてやがった。
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